令和8(2026)年度
学会表彰の受賞者と受賞理由を掲載いたします。表彰式ならびに感謝状授与式は2026年8月26日(水)第15回環境放射能除染研究発表会の記念式典の中で行います。
遠藤 和人 氏(国立研究開発法人国立環境研究所)
福島第一原発事故に伴う環境放射能問題に対し、除去土壌等の減容化、中間貯蔵、県外最終処分に至る一連のプロセスを対象として、工学的かつ実装志向の研究を継続的に展開してきた。特に最終処分に向けた技術システムの構築や、処分場における浸出水中有害物質の挙動解明およびリスク低減技術の開発を通じて、安全かつ実現可能な処分方策の確立に大きく貢献している。また、減容化技術や処理残渣の環境影響評価に関する知見は、除染廃棄物の適正管理と資源循環の推進に資する重要な基盤を提供している。これらの成果は福島復興政策の根幹を支えるとともに、環境放射能分野および廃棄物工学分野の発展に寄与する顕著な業績である。さらに、学会においても理事・副会長として運営に尽力され、分野の発展と人材育成に大きく貢献している。これらの功績に対して学会賞を授与する。
「中間貯蔵施設周辺復興地域の融合的な環境再生・環境創生に向けた研究」プロジェクト
《テーマ1》
遠藤 和人(国立環境研究所)、山田 一夫(国立環境研究所)、熊谷 純(名古屋大学)、三成 映理子(国立環境研究所)、三浦 拓也(福島工業高等専門学校)、田中 悠平(国立環境研究所)、東條 安匡(北海道大学)、戸田 賀奈子(東京大学)、斉藤 拓巳(東京大学)、半井 健一郎(広島大学)、乾 徹(大阪大学)、庭瀬 一仁(日揮株式会社)
《テーマ2》
万福 裕造(農業・食品産業技術総合研究機構)、山口 紀子(農業・食品産業技術総合研究機構)、五味 馨(国立環境研究所)、戸川 卓哉(国立環境研究所)、大西 悟(国立環境研究所)、玉置 雅紀(国立環境研究所)、石井 弓美子
(国立環境研究所)、藤野 正也(福島大学)
《テーマ3》
保高 徹生(産業技術総合研究所)、高田 モモ(産業技術総合研究所)、村上 道夫(大阪大学)、長野 宇規(神戸大学)、栗山 尚子(神戸大学)、鬼塚 健一郎(京都大学)、大沼 進(北海道大学)、柴田 侑秀(北海道大学)
中間貯蔵施設周辺地域における環境再生と地域復興という複雑かつ学際的課題に対し、自然科学と社会科学を統合した体系的研究を推進し、顕著な成果を挙げた。特にCsを対象とした飛灰中での挙動解明や固形化・長期安定性評価など、環境放射能対策の基盤となる技術的知見を確立するとともに、地域に内在する実践知をパターン・ランゲージとして形式知化し、住民・行政との対話を通じた合意形成手法を提示した点は高く評価される。さらに、地域統合評価や将来シナリオの構築を通じて、技術と社会実装を接続する枠組みを提示し、復興政策への具体的示唆を導いた。本研究は、個別分野の成果に留まらず、分野横断的な協働により新たな知の統合を実現した点において、学術的意義および社会的貢献の両面で極めて優れた業績である。これらの功績に対して学術賞を授与する。
鹿島建設株式会社・京都大学
技術名:分級処理に伴い発生する細粒分の処分に関する技術的実証
高濃度除去土壌の県外最終処分について、従来検討されてこなかった技術シナリオの1つである高度分級後の脱水ケーキの最終処分方法について技術的実証を行った。本実証により県外最終処分に向けた個別要素技術の1つを明らかにすることで戦略目標の1つをクリアすることが可能となった。この業績に対して技術賞を授与する。
カビール ムハムドゥル 氏(秋田大学)
電気工学分野で除染技術を継続的に研究テーマとして取り上げ、毎年学生・院生が除染技術のテーマに取組んでいる。これによって研究室内では十数名、コースでは60名以上の学生が毎年原子力災害について触れる機会を生み出している。電気学会でも精力的に研究発表しており、電気学会東北支部の講演会で福島復興をテーマとするなど、多くの研究者や学生が原子力災害について触れる機会を作っている。今後の研究および諸活動の継続を期待し奨励賞を授与す
今井 啓祐 氏(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)
中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)において、研究機関や民間事業者と連携しつつ、多年に亘り、公募型実証事業、減容・再生利用に関する直轄型実証事業、国立環境研究所との共同研究、JESCO独自の実証事業等の技術開発に携わり、環境省による「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」の成果取りまとめや、各種の基準・ガイドラインの策定等に貢献した。また、当学会とJESCOが事務局を務める「減容化・再生利用と復興を考える知のネットワーク」の取組にも尽力し、企画セッション等の場で減容化等の技術情報を広く一般向けに発信した。この貢献に感謝して功労賞を授与する。
NPO 法人輝く猪苗代湖をつくる県民会議
美しい猪苗代湖を次世代につなぐために水環境の保全に取り組み、その活動は市民運動として猪苗代湖の環境再生・環境保全に貢献している。研究発表会の企業展示および企画展示となった第8回以降継続して展示参加し、研究発表会を盛り上げた。この貢献に感謝して功労賞を授与する。
福島県環境創造センター
研究発表会の実行委員会に継続して委員を派遣し研究発表会の開催を支援した。また、企業展示併設時代および企画展示となった第8回以降継続して展示参加し研究発表会を盛り上げた。この貢献に感謝して功労賞を授与する。
公益社団法人 全国消費生活相談員協会 『ふくしまの食相談センター』
ふくしまの食の安全を全国レベルで発信し、研究会や見学会を通じて相談員の理解向上を図るとともに、高校生・大学生を中心としたイベントを開催して次世代への伝承活動を実施した。本学会の企画展示で情報発信を行い、消費者に近い位置にいる相談員の皆様が原子力災害に触れて農林水産物の安全確保に払った努力は、今後も風評被害の軽減に寄与するものと評価できる。この貢献に感謝して功労賞を授与する。
山本 貴士 氏(国立研究開発法人国立環境研究所)
実質的な学会誌の編集委員会事務局長として、約5年間にわたり投稿時の内容確認から掲載決定後の印刷まで全工程を担当され、安定した学会誌の運営を支えてきた。また、投稿論文の作業の効率化や学会誌そのものの活性化のために、電子投稿・査読システムの導入及び学会誌の電子ジャーナル化に大きく貢献した。特に電子化の手続きに加えて、投稿規程等の改訂にも主体的に取り組まれた。この貢献に感謝して功労賞を授与する。
馬渕 由季子 氏(環境放射能除染学会)
学会事務局で学会運営、経理関係、研究発表会運営等の実務で学会を支えた。会員管理、ホームページ、研究発表会運営の効率化を目指して新たなシステムを導入し、持続可能な事務局への体制改善に着手した。また、学会誌編集委員会と協力して電子ジャーナル化に貢献し、電子化に当たって必要となった学会ニュースレターの発行体制を立ち上げた。この労に感謝して感謝状を贈呈する。
一般社団法人環境放射能とその除染・中間貯蔵および環境再生のための学会
表彰委員会