令和5年度学会表彰のお知らせ
2023/08/29
令和5年度学会表彰のお知らせ
以下に令和5年度学会表彰の受賞者と受賞理由を掲載いたします。表彰式は2023年8月30日(水)第12回環境放射能除染研究発表会の記念式典の中で行います。
学会賞
小林 正明 氏(前 中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)代表取締役社長)
小林氏は福島の創造的な復興に繋げるための活動として、世代と分野を超えた連携促進を図るための知のネットワーク「減容化・再生利用と復興を考える知のネットワーク」を学会とJESCOの共同で設立し、定期的な知見の共有や交流を深める場づくりなど、活発な活動の推進役として、多大な貢献を果たした。代表取締役社長の退任にあたり、これまでの顕著な功績に対して学会賞を授与する。
学術賞
市川 恒樹 氏(北海道大学名誉教授)
市川氏はセシウム吸着に係る物理化学的基本であるイオン交換理論に基づき、従来の議論に捕らわれない独自性と学術性が高い一連の研究を行った。その成果を本学会の研究発表会と学会誌に多数発表し、本学会の学術的レベルの向上と学術団体としての活動に大きく貢献した。この功績に対して学術賞を授与する。
技術賞
清水建設株式会社エンジニアリング事業本部(代表:土田 充 氏)
技術名称:セシウム汚染除去土壌の濃度別高精度・高速分別システムの開発と運用
清水建設株式会社エンジニアリング事業本部は、セシウム汚染除去土壌を濃度別に高精度かつ高速で分別するシステムを開発・実用化した。この技術を実際の受入・分別施設に適用して121 万トンという莫大な除去土壌の分別を実施し、環境放射能除染に大いに貢献した。本学会の講演会で実際の運用状況を紹介するなど、学会活動にも貢献した。この功績に対して技術賞を授与する。
技術賞
大成建設株式会社(代表:谷口 雅弘 氏)
技術名称:除去土壌と溶融飛灰と脱水ケーキ等をジオポリマーの固型化材料として利用する技術の開発
大成建設株式会社は放射性セシウムが高濃度に濃縮された除去土壌、溶融飛灰、脱水ケーキについて、長期的な安定保管の観点から、セシウム保持性の高い再生利用技術としてのジオポリマー固型化技術を開発し、中間貯蔵技術の進展に貢献した。この功績に対して技術賞を授与する。
技術賞
アジア航測株式会社(代表:廣永 茂雄 氏)
技術名称:中間貯蔵施設の維持管理におけるUAVを用いた点検・監視の効率化技術の開発
アジア航測株式会社は今後考えられる中間貯蔵施設の変状や放射線量の予想外の変化に対して、UAVで把握可能な変化量等を明らかにし、点検・監視作業における有効性を検証し、中間貯蔵技術の進展に貢献した。この功績に対して技術賞を授与する。
奨励賞
渡邊 雄二郎 氏(法政大学)
渡邊氏はゼオライトによるセシウムイオンの回収とアルカリ水熱処理による安定化方法の研究に精力的に取り組み、中間貯蔵技術の進展に貢献した。これらの技術は県外最終処分に向けた放射性セシウムの安定貯蔵方法として、今後の有効活用が期待できる。よって奨励賞を授与する。
功労賞
千葉 茂樹 氏(福島自然環境研究室)
千葉氏は原発事故発生直後より、山林を中心とする県内土壌の放射性物質汚染状況を測定してデータを蓄積した。データには考察を加え、本学会誌にも寄稿している。福島県立高校の理科教諭として、データに基づき議論する重要性を、自らデータ取得をする姿勢をもって教育してきた。教育の一線を退いた後も研究室を設立し、自ら取得したデータに加え、除染や原発事故に関連する情報をまとめ、県内外に発信し続けてきた。これらの活動は本学会員および放射性物質汚染に関わる多くの人に有益であると認め、功労賞を授与する。
一般社団法人環境放射能とその除染・中間貯蔵および環境再生のための学会
表彰委員会